栄養学の考え方を変えさせた実験
The Journal of Nutrition Vol. 127 No. 5 May 1997, pp. 1017S-1053S
Copyright ©1997 by the American Society for Nutritional Sciences
Experiments That Changed Nutritional Thinking
Kenneth J. Carpenter, Alfred E. Harper, and Robert E. Olson
Department of Nutritional Sciences, University of California, Berkeley, CA; University of Wisconsin, Madison, WI; and University of South Florida, Tampa, FL
100°Cで乾燥させた物質名 | 熱 (kcal) | 力 (Kg-m) |
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下記の個々の物質が燃えたとき遊離されるエネルギー: | ||
酸素の中で燃えたとき | ||
エーテルで純化した牛肉 | 5.10 | 2161 |
純化したアルブメン | 5.00 | 2117 |
尿素 | 2.21 | 934 |
体内で利用されたとき | ||
エーテルで純化した牛肉 | 4.37 | 1848 |
純化したアルブメン | 4.26 | 1803 |
1 From Frankland (1866). |
この頃までに熱の仕事当量について、1 kgを423 m持ち上げるのに必要なエネルギーは約1キロカロリーであることが確定されていた (Joule 1843). 今や人で実験することが必要となった。フィックと大学の協同研究者ウィスリツェーヌス (Johannes Wislicenus)は、ある山 (訳注:ファウルホルン山) の麓近くのホテルに一晩を過ごした。翌朝5時に彼らは採尿装置を持って出発し、13時20分に頂上のホテルに到達した。冷たい霧の中を登頂したので、発汗による消失は無いと信じた。前日の正午から登山の日の19時まで彼らの食事は脂肪で揚げたデンプンペーストであった。彼らはまた非常に甘くした茶とある程度のビールと葡萄酒を摂った。 彼らの尿窒素排泄の結果およびその後の計算を若干の丸めを行って表 2に示す。呼吸にともなう内的な仕事は考慮せず、筋の能率は100%とみなしても、タンパク質の代謝量は登山に必要なエネルギーに不十分であった。一人にとっては51%であり、もう一人には43%であった。 |
フィック | ウィスリツェーヌス | |
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体重 (+荷物), kg | 66 | 76 |
尿窒素 (0500-1900 h),1 g | 5.74 | 5.55 |
代謝されたタンパク質 (N × 6.25), g | 35.9 | 34.7 |
タンパク質のカロリー当量 (at 4.37 kcal/g)2 kcal | 66,400 | 64,100 |
仕事当量 (at 423 kg-m/kcal), kg-m | 2.21 | 934 |
重力に逆らって1956 m 登るに必要な仕事量, kg-m | 129,000 | 149,000 |
1 Fick and Wislicenus (1866). | 4.37 | 1848 |
2 Frankland (1866). | 4.26 | 1803 |